大学版モチアップとは?

社会の変化が加速する中、その変化に対応できる人材をどう育てるのか、日本中の大学が「教育のあるべき姿」を模索しています。
その解決になるかもしれないキーワード「社会と繋がった教育」そして「アクティブラーニング」です。
今回は、社会と連携したアクティブラーニング教育「大学モチアップ」を、九州で最初に導入した九州産業大学の事例を紹介します。

モチアップを導入した
大学関係者の声

九州産業大学 経営学部教授 聞間 理 氏

髙橋:まずは、教育者として今感じている課題と、「モチアップ」との出会いについて教えて頂きたいのですが。

聞間:経営学の研究者をしていて感じているのが、新しい知識や動きが加速しているということ。 今、どんどん新しいものが積み重なっていて、何を教えていてもどこか足りないという状況です。 そんな中で、学生に身につけて欲しい2つの能力があります。 1つは、新しい情報を素早くキャッチして、それを自分の中に吸収する力。もう1つは、時代の変化が起こってもブレない軸。 これらがあれば、たくさんの情報に出会った時に、何が自分にとって本当に大切なものなのかと判断ができるようになるのではないかと。 そして、こういったものを学びとして身につけられる教育プログラムがあればと感じていました。そして出会ったのが「モチアップ」です。

髙橋:聞間教授は一社会人として「モチアップ」に参加していらっしゃいましたが、そんな中で、大学教育にも同じメゾットが活かせるとインスピレーションが働いたんですね。

聞間:私が実際に「モチアップ」で色んな人とディスカッションをすることで、人によって関心のあるところが異なっていることがあると気づいたり、 自分はこういったところにアンテナが立っているのかと自身を見つめられたり、他者と自分のお互いを認められたりしました。


髙橋:それで、学生が抱えている現状の課題を解決する手段になると仮説を立てたんですね。実際にこの「モチアップ」を大学の講義に導入してみて、学生にどんな変化がありましたか?

聞間:1つ目は、学生の表情が明るくなったこと。今、「自分は他者に認められているか不安だ」「自分に自信がない」という学生が非常に多いんですが、 「モチアップ」を続けていくと学生はどんどん明るくなりました。2つ目は、学生の声や発言の打ち出しがはっきりとしたこと。 相手の意見を受け止めた上で、自分の意見を伝えることを繰り返していくので、自分の意見が否定されたり間違っていると言われたりすることはない、と気付いた上で発言するようになりました。 動画を見て、他者の意見が勉強になったと人前で堂々と伝えてくれるのが、とても印象的でした。

3つ目は、学生が「自分は成長できるんだ」という経験をしていること。アンケートの結果ではそのように出ています。 そしてその成長を「楽しい、嬉しい」と思ってくれているというのが、やっていてよかったと思える理由ですね。

髙橋:最初に仰っていた、人生の軸を持つこと、そしてこの「モチアップ」の関連性とは?

聞間:時代が大きく動いたとして、その波に合わせて自分が動くことは大切ですが、それでは疲弊してしまいます。 「自分は何者なのか」と自己アイデンティティを喪失したような感覚になってしまう。 だからこそ、まずは自分の軸となる部分を確立させ、「ここはついて行きたい」「ここはスルーしていい」という判断、 つまり、「どういうことを大事にして生きていきたいのか」と判断できる基準を見つけて欲しい。

そして、その判断基準を発掘できるプログラムが「モチアップ」です。 自分の生き方を考えながら、他者の意見や成功した先人の経験談を、自身に取り込んでいけるプログラムだからです。

髙橋:自分とは一体何者なのか。何を大切にして生きているのか。そう考えることが大学生には必要だと。

聞間:大学生のうちに、そう考えられるようになって欲しいですね。 大学とは、究極は、先人たちの知恵を借りながら、自分がこれからどう生きていくかを思索する場所だと思います。 そしてこれは、社会に出てから揺らぐこともある。だから、続けていって欲しいと思っています。

モチアップを導入した
大学関係者の声

九州産業大学 教務部教務課 一ノ瀬 大一 氏

髙橋:モチアップという大学向け教育プログラムを正式に導入して頂き、半期が修了したということでインタビューに伺いました。 一ノ瀬さんは大学の教える教員側ではなく、スタッフ側としてこのモチアップの導入に力を注がれたとのこと。 どんな動機で導入されたのか、また、導入前後で学生・教員の方にどんな刺激や変化があったのかを教えてください。

一ノ瀬:まず初めに感じたのは、「モチアップ」はコミュニケーション能力が必要とされるプロジェクト型教育の、 入門的位置づけとして有効ではないかということです。

というのも、モチアップは社会と繋がっていると意識することできるからです。 例えば、地場の企業がどんなことに悩んでいて、結果がどうなったかなどのプロセスが、良い教材の中で分かりやすく動画にされています。 それを見た学生は、意見を言ったりグループワークをすることによって様々な気付きを得たりしながらコミュニケーション能力を高め、 さらには自己肯定感も高められます。本学では全学共有カリキュラムとして展開しているため、色んな学部の学生、1年生も受講できます。 また、「モチアップ」は学生の学びだけではなく、教職員の学びににもなると感じています。 彼らが、本当に社会と密接に関わっているかと言われると、そうではないのではないかと。 そこで、本学では、「モチアップ」の授業に、1回につき2名以上の教職員を参加させています。 彼らは、ファシリテーターやコーディネーターとしてではなく、一参加者として、学生と一緒にディスカッションします。


髙橋:なるほど。また、九州産業大学は九州で2番目に大きな私立大学なので、九州の人材教育の大きな要を担っていますよね。 それを踏まえた上で、どのような思惑でこのプログラムを導入したのか、お聞かせください。

一ノ瀬:本学では1~2年生の時点でまず、基盤を養う教育プログラムを受けてもらいます。 その中の実践力育成演習という科目に、この「モチアップ」を導入しました。実践力育成演習科目と聴いてみていかがでしょうか? このような大学の授業科目は少ないのでは。今の大学教育の中で、このような学生の実践力を養っていける科目がどれだけあるのか、 ということに関して、私は常に問いを立てています。 そして、もしこの実践力を1年生の間に身につけられたとしたら、当然その学生は2~4年生になるにあたって、 もっと成長するチャンスが増えていくのではないかと思っています。

髙橋:つまり、ベースとなる実践力を鍛えようと。

一ノ瀬:その実践力を育成するのに必要なのが、コミュニケーション能力です。 「社会のことを知っていますか?」「他者を思いやる気持ちがありますか?」「相手の意見を聞いて、自分の意見も言っていますか?」「相手の意見も素直に受け入れていますか?」 …そういったことを、この「モチアップ」の中で15週学んで身につけてほしいと思っています。

髙橋:最後に、現状の課題やご要望について教えてください。

一ノ瀬:社会人と学生が接する場が、今後の大学教育において重要だと感じていますので、そういった場を設けたいと考えています。
「モチアップ」は元々、社会人の方のプログラムですから、実際にこれを受けている社会人の方に参加者として講義に入って頂いて、 学生・教職員・社会人でディスカッションできたらと思っています。

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大学版モチアップの効果

自己 傾聴力に関して、5段階評価アンケートを学生(約50名)に行った際の、各項目の学生全体平均値の授業前後での変化。

自己 発信力に関して、5段階評価アンケートを学生(約50名)に行った際の、各項目の学生全体平均値の授業前後での変化。

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